グローバルAI産業週報(10.6— 10.12)
一、ChatGPTが万能アプリへ進化:会話中に航空券予約やデザイン作成が可能に。8億ユーザーが迎えるAIインタラクションの新時代

OpenAIは開発者カンファレンスで、ChatGPTがサードパーティ製アプリを正式に内蔵サポートすることを発表した。
ユーザーは画面を切り替えることなく、会話の流れの中でタスクの発生からサービス実行までを一気に完結できるようになる。
第一弾として、旅行・デザイン・教育などの利用頻度の高いシーンをカバーする Booking.com(ブッキングドットコム)、Canva(キャンバ)、Expedia(エクスペディア) など計7つのプラットフォームがChatGPTに統合され、会話流れに応じて最適なアプリを自動提案されるようになる。
開発者は新たに提供される Apps SDK を活用することで、ログインや決済機能を備えたインタラクティブアプリを構築できるようになる。
年末にはアプリの審査および収益化の仕組みも開放される予定だ。
また、ユーザーがすでに契約しているサービスに対して、ChatGPT上の会話内から直接ログインして利用できるようになる。
この変革は、ChatGPTが単なる「会話ツール」から「AIオペレーティングシステム」へと進化したことを意味し、8億人のアクティブユーザーに向けて「会話=サービス」という新時代を切り拓くものである。
二、シリコンバレーの大富豪Chamath氏、米国製AIを見限り、中国モデルに“鞍替え”


シリコンバレーの著名投資家 Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ) は、自社の業務負荷の多くを中国の Kimi K2モデル に移行したことを公に表明した。
その理由として、OpenAI や Anthropic のモデルと比べて性能が十分に高く、かつ圧倒的にコストが低い点を挙げている。
Vercel、Cursor、Perplexity など、米国の主要開発者エコシステムにおける重要プラットフォームもすでに Kimi K2 を統合。
開発者たちはコードを通じて“投票”するようにこの選択を示し、市場がその実力を証明している。
State of AI Report 2025 では初めて、中国のAI産業が「追随者」から「並行する競争者」へと格上げされた。
三、Figure、第3世代ヒューマノイドロボット「Figure 03」を発表——完全自律で家事をこなし、大量生産にも対応

Figure は第3世代のヒューマノイドロボット 「Figure 03」 を正式に発表した。本機は Helix システム 専用に設計され、家庭およびグローバルな大規模応用を視野に入れて開発されたモデルである。新世代のビジョンシステムを搭載し、フレームレートは従来の2倍、遅延は4分の1に低減。手のひらには広角カメラを内蔵し、自社開発の触覚センサーは 3グラムの圧力 を感知できる。両足は人間の足裏アーチとつま先構造を模倣しており、足底のワイヤレス充電によって1日中の稼働が可能。外装には洗えるグレーのニット素材を採用し、温かみのあるデザインを実現した。「Figure 03」は、自律的に水やり・皿洗い・収納といった家事をこなすだけでなく、宅配仕分けやホテルのフロント業務にも対応可能。さらに、ゼロから設計された初の量産対応モデルでもあり、BotQ工場の年間生産能力は将来的に 10万台 まで拡大予定だ。
これにより、同社は実験室でのプロトタイプ段階から本格的な量産フェーズへと移行したことを示している。
四、OpenAIの動画アプリ「Sora」登場から5日で100万ダウンロード突破、ChatGPTを上回る勢い——著作権論争も浮上

OpenAIがリリースしたAI短編動画アプリ 「Sora」 は、配信開始からわずか 5日間で100万ダウンロード を突破し、同社の代表作 ChatGPT(現在週間アクティブユーザー8億人) を上回るスピードで成長している。
現在Soraは iOSデバイス限定 かつ 招待コード制 にもかかわらず、Appleの App Storeランキングで首位 に立っている。
しかし、Soraが「スポンジ・ボブ」などの人気アニメキャラクターを生成できることから、アメリカ映画協会(MPA) が著作権侵害の可能性を指摘し、OpenAIに対応を求めている。
これに対し、OpenAIのCEO サム・アルトマン(Sam Altman) は、権利者により多くのコントロール権を付与する方針を示し、ユーザーに対しては機能改善を待つよう呼びかけた。
五、AI玩具、中国と米国市場で急成長

チャットボットや音声アシスタントを搭載した AIトイ(AI玩具) が新たなトレンドとなっており、特に中国市場で急速な成長。すでに米国などの海外市場にも広がりを見せている。
BubblePal や FoloToy などの企業は、子どものスクリーン依存を減らすことを目的とした製品を展開している。
一方で、保護者からは「AI機能が時々不安定」「応答が長すぎる」「音声認識に遅延がある」といった不満の声も寄せられており、子どもがすぐに飽きてしまうケースもあるようだ。
アメリカ大手玩具メーカーであるMattel(マテル)も、OpenAIと提携し、AIトイの開発を進めている。今後市場の競争がさらに激しくなるとみられている。