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世界 7 億人は、どのように AI を利用しているか?——ERAI による最新レポートから読み解く業界動向

ERAI は業界観察の視点から、2つの最新AI研究成果を整理した。ひとつは、 OpenAI がデューク大学、ハーバード大学と共同で発表した「人々はどのように
ChatGPTを使用しているか」というレポート、もうひとつは Anthropic が発表した第3期「Anthropic経済指数」である。これにより、過去2年半の間に世界のユーザーがAIを生活や仕事にどのように段階的に取り入れてきたかが、より明確に浮かび上がってくる。

一、AI の役割転換:効率ツールからライフアドバイザーへ

当初、人々はChatGPTを文章作成やプログラミングのツールとして利用していたが、現在ではそれがよりライフアドバイザー的な存在へと変化している。レポートによれば、仕事以外での利用割合は過去1年間で53%から73%へと急速に上昇した。言い換えれば、AIはすでに職場の枠を超え、学習、日常生活、さらには個人の感情に関わる場面にまで浸透している。最も一般的な3つのニーズは、実用的なアドバイス、情報検索、文書作成であり、これらを合わせると全体の対話の約80%を占める。その中でも、教育関連の利用は10.2%に達し、文章作成や情報検索に次ぐ主要な用途となっている。これは、AIが新世代の若者にとって「学習パートナー」としての役割を担い始めていることを示している。

二、誰がAI を使用しているか:ユーザー構成の変化

ユーザー像から見ると、AI の利用は急速に大衆化している。
性別は均衡化へ:初期は男性が圧倒的多数を占めていたが、現在では女性の割合が 52%に達し、男性をわずかに上回っている。女性ユーザーは主に文章作成や生活支援に活用しており、男性は技術関連や情報検索に偏っている。
若者が主力層に:18〜25歳の層は全対話の 46%を占めるが、仕事関連の利用はわずか 23%にとどまる。彼らは AI を主に学習や日常生活の場面で活用していることがわかる。
学歴が使用傾向に影響:大学院生ユーザーでは、対話の約48%が仕事関連であるのに対し、学士号未満のユーザーではこの割合は 37%にとどまる。学歴が高いほど、AI は職場のシーンにより深く浸透している傾向が見られる。
新興市場が急成長:最も成長率が高いユーザー層は高所得国ではなく、一人当たり GDP が 1万〜4万米ドルの中低所得国である。AI は「エリート専用」の壁を打ち破り、世界の機会均等を推進する重要な力となっている。

三、人とAI の対話方式:3つの主要な形態

レポートでは、人と AI の対話を以下の 3 つのモデルに分類している。
質問型(Asking):全体の 49%を占め、ユーザーは AI をアドバイザーとして捉え、助言や提案を求める。
実行型(Doing):40%を占め、文章作成、計画立案、プログラミングなどの具体的なタスクの遂行に活用される。
表現型(Expressing):11%で、自己表現、娯楽、思考の整理など、より内面的・創造的な用途が含まれる。
この中でも、アドバイスや意思決定に関する対話は半数を超えており、満足度も最も高い。これは、人々が AI に「作業を任せる」だけでなく、「アイデアを引き出す存在」としての役割をますます期待していることを示している。

四、教育と意思決定:AI が最も潜在力を持つシーン

すべての用途の中で、教育・学習分野の利用割合は 10%を超えており、すでに ChatGPT の最も核心的なアプリケーションの一つとなっている。
一方、意思決定支援に関する対話は、利用割合が半数を超えるだけでなく、全カテゴリーの中で最も満足度が高い。
これら 2 つの傾向は、ひとつの重要な変化を示している。すなわち、AI は「人に代わってコンテンツを生成する」段階から、「人の認知能力を高める」段階へと移行しつつある。
AI は人々のタスクを完了させるだけでなく、判断力や思考のあり方そのものに、より深く影響を与える存在になりつつある。

五、マクロトレンド:AI 普及の速度と意義

2025年7月時点で、ChatGPT の週間アクティブユーザー数は 7 億人に達し、これは世界の成人人口の約10分の1に相当する。毎週処理されるメッセージ数は 180 億件に上る。
人類史を振り返っても、これほどの速度で世界的に浸透した技術はほとんど存在しない。電気やインターネットでさえ、AI の普及速度には遠く及ばない。
特に注目すべきは、この趨勢が高所得国に限られているのではなく、中低所得国にも同様に加速的に広がっている点である。AI は、真の「グローバル機会エンジン」としての役割を担い始めている。

ERAI 業界観察

使用シーンの生活化:AI はもはや職場専用のツールにとどまらず、学習・教育・個人アドバイザーといった領域へと進出し、ユーザーの定着率(粘性)は大幅に高まっている。

普及の非エリート化:最も高い成長率を示しているユーザー層は中低所得国にあり、AI の価値は世界的な機会の再分配を促進する原動力となっている。

人と AI の関係のアップグレード:ユーザーが AI に対して最も高い満足度を示すのは、「認知能力の強化」に関する対話である。AI は徐々に、人間の「第2の脳」としての役割を担い始めている。

競争の鍵はアプリケーションにある:未来の差異は「誰が AI を保有しているか」ではなく、「誰が AI をより深く、より広く活用できるか」によって決まる。

これらの傾向はすべて、AI が「新奇なツール」の段階を脱し、「日常的なインフラストラクチャ」へと進化しつつあることを示している。AI は生産性向上の手段であると同時に、認知パートナーであり、未来の社会構造変革を牽引する中核的な力となる可能性を秘めている。

では、このような趨勢の中で、貴社は業務上の意思決定やプロセス最適化の支援ツールとして AI を活用する準備が整っているでしょうか。もし今なお従来型のモデルにとどまっているとすれば、効率性とイノベーションの機会を逃すことになりかねません。