ERAI

Loading...

グローバルAI産業週報(9.29—10.6)

一、初のAI女優がデビュー、ハリウッドが騒然

チューリッヒ映画祭で、AIによって創られた女優 Tilly Norwood(ティリー・ノーウッド)が登場し、ハリウッドに衝撃を与えた。所属会社 Particle6 によると、すでに複数の芸能事務所が契約交渉を進めており、「疲れ知らずで老化しない」このバーチャル女優は、業界初となる可能性が高いという。Tilly は、オランダ人女優 Eline(エリーネ)が設立した Particle6 が、AIシステム Xicoia(シコイア)を用いて創り上げた存在で、親しみやすい茶髪の20代前半の女性としてSNSに登場。フォロワー数は3.6万人を超える。7月には全編AI制作のコメディ短編映画『AI委員会(AI Committee)』に主演し、2か月で再生数20万回を記録。同社によれば、Tillyの活用により制作コストを90%削減できるという。

二、OpenAIが「Sora 2」を発表、サム・アルトマンがネット上でネタ化

OpenAIは正式に次世代動画生成モデル「Sora 2」と同名のソーシャルアプリを発表し、AI動画生成が新たな段階に突入したことを示した。初代モデルと比べて、Sora 2は複数の重要な技術的飛躍を遂げている。物理法則を精密にシミュレートできるため、オリンピック体操やパドルボードでのバックフリップなど、複雑な動的シーンの生成が可能となった。また、音声と映像の同時生成をサポートし、リアルな効果音や会話を自動的に同期させることができる。さらに、「
Cameo(カメオ)」機能では、ユーザー自身やペットの姿を仮想シーンに登場させることが可能で、創造性と肖像権保護を両立する設計となっている。

三、ChatGPTがショッピング機能を公開、同時にペアレンタルコントロールも導入

OpenAIはChatGPTに「インスタントチェックアウト」機能を導入し、チャット中に直接商品を購入できるようにした。別サイトへの遷移は不要で、初期段階ではEtsyの小規模店舗が導入済み。今後はGlossierやSpanxを含む100万社以上のShopify加盟店が順次参加する予定だ。この機能は米国の全ユーザーが利用可能で、複数の支払い方法に対応している。商品推薦は検索関連性に基づいており、有料ランキングは採用されていない。OpenAIは販売手数料を収益源とするモデルを採用しており、基盤には**Stripeと共同開発したオープンソースの「エージェント型ECプロトコル」**が用いられている。現在、ChatGPTの週次アクティブユーザー数は7億人を超え、その多くが購買関連の検索を行っている。同日、OpenAIはペアレンタルコントロール機能も実装し、アカウント連携の管理が可能となった。
 

四、Meta AIに激震——LeCun氏、FAIR主任科学者の辞任を検討

チューリング賞受賞者であり、MetaのAI研究部門FAIR(Fundamental AI Research)の共同創設者でもあるYann LeCun(ヤン・ルカン)氏が、9月に同僚へ「FAIR主任科学者を辞任する可能性がある」と明かした。12年間にわたりMetaのAI研究の中核を担ってきた彼だが、現在は留任への意欲が揺らいでいるという。発端となったのは、Metaが最近行った一連の組織再編だ。半年間でAI部門の再構築が4回も実施され、戦略が定まらない状況の中、7月にはOpenAI出身の研究者・趙晟佳(Zhao Chengjia)氏が「スーパーインテリジェンス研究所」の主任科学者に任命され、LeCun氏の影響力の低下が指摘されている。さらに8月末に導入された新ルールでは、FAIRの論文発表前にTBD研究所の審査を受ける必要があると定められ、研究者の間では「学問の自由を制限する」との懸念の声が上がっている。

五、若者の「脱ポルノ依存」を支援するAIアプリ Quittr(クイッター):AIが“優しい見守り役”に

Quittr(クイッター)は、やや“直感に反する”“人間らしさに反する”ような存在とも言える。コンテンツ生成ツールでも、学習支援やオフィス向けソフトでもなく、ユーザーが性的コンテンツから距離を置き、自制心を取り戻すことに特化したAIアプリだ。一見ニッチな市場だが、公開からわずか数か月でソーシャルメディア上で爆発的に拡散。世界中で100万回以上ダウンロードされ、月収は25万ドルを超える。メンタルヘルス分野で注目のダークホースとなっている。